#20.【ゼロトラストとは?】サイバーセキュリティの最新動向についてわかりやすく解説!

エンジニア
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サイバーセキュリティの世界は、常に進化し続けています。従来の境界防御モデルはもはや万能ではなくなり、新しいアプローチが求められています。ここで注目されているのが「ゼロトラストセキュリティモデル」です。本記事では、ゼロトラストの基本概念から実践ガイドまで、初心者にもわかりやすく解説します。

ゼロトラストとは?

ゼロトラスト(Zero Trust)とは、その名の通り「誰も信用しない」という前提に基づくセキュリティモデルです。従来のネットワークセキュリティは、内側のユーザーやデバイスを信頼し、外部からの攻撃を防ぐことに重点を置いていました。しかし、ゼロトラストモデルは、ネットワーク内外を問わず、すべてのアクセスを厳格に検証します。

ゼロトラストの基本原則

ゼロトラストの基本原則は以下の通りです。

  1. すべてのアクセスを検証する
    内部ネットワークでも外部からのアクセスと同じように扱い、すべてのアクセスリクエストを検証します。
  2. 最小権限の原則を適用する
    ユーザーやデバイスには必要最小限の権限のみを付与し、不要なアクセスを防ぎます。
  3. 継続的な監視とログ管理
    アクティビティを常に監視し、異常な行動が検出された場合に即座に対応します。

ゼロトラストの必要性

サイバー攻撃の手法はますます高度化しており、従来の境界防御だけでは不十分です。内部のユーザーやデバイスが攻撃に利用されるケースも増えているため、ゼロトラストモデルの導入が重要です。また、リモートワークの普及により、外部からのアクセスが増えたこともゼロトラストの必要性を高めています。

ゼロトラストモデルの実践ガイド

それでは、具体的にゼロトラストモデルをどのように実践するかを見ていきましょう。

ステップ1 ネットワークの可視化

まず、ネットワーク内のすべての資産、ユーザー、デバイス、アプリケーションを可視化する必要があります。これにより、どの部分がセキュリティの脆弱性を持っているかを特定できます。

  • 資産インベントリの作成
    ネットワーク上のすべての資産をリストアップし、その重要度とリスクレベルを評価します。
  • ネットワークトラフィックの監視
    通信のパターンを分析し、通常のアクティビティと異常なアクティビティを識別します。

ステップ2 アクセス管理の強化

次に、アクセス管理を強化します。ユーザーやデバイスがどのリソースにアクセスできるかを厳密に制御します。

  • 多要素認証(MFA)の導入
    ユーザー認証においてパスワードだけでなく、追加の認証要素を要求します。これにより、不正アクセスのリスクを大幅に低減できます。
  • シングルサインオン(SSO)の実装
    ユーザーが一度の認証で複数のシステムにアクセスできるようにしつつ、セキュリティを維持します。

ステップ3 ポリシーベースのアクセス制御

ポリシーベースのアクセス制御を実施し、特定の条件を満たす場合にのみアクセスを許可します。

  • 動的ポリシーの設定
    ユーザーの役割、デバイスの状態、場所などに基づいてアクセスポリシーを動的に適用します。
  • コンテキストベースのアクセス制御
    アクセスリクエストのコンテキスト(例えば、ユーザーの行動履歴やデバイスのセキュリティ状態)を考慮し、リアルタイムでアクセスを許可または拒否します。

ステップ4 継続的な監視と対応

ゼロトラストモデルでは、常にシステムを監視し、異常な活動を迅速に検出して対応することが求められます。

  • セキュリティ情報およびイベント管理(SIEM)の導入
    全体のセキュリティイベントを集約し、リアルタイムで分析・対応します。
  • 異常検知システムの導入
    AIや機械学習を活用して、通常のパターンから逸脱する異常な活動を検出します。

ステップ5 データ保護と暗号化

データの保護と暗号化も重要な要素です。データが転送中であれ保存中であれ、適切に保護されていることを確認します。

  • データの暗号化
    転送中および保存中のデータを暗号化し、アクセス権限を持つ者だけが解読できるようにします。
  • データ分類とポリシー設定
    データを機密性に応じて分類し、各カテゴリに適した保護ポリシーを適用します。

ゼロトラスト導入の課題と対策

ゼロトラストモデルの導入にはいくつかの課題がありますが、適切な対策を講じることで効果的に実践できます。

課題1 既存システムとの統合

ゼロトラストモデルを既存のシステムに統合する際、互換性の問題や運用の複雑さが生じることがあります。

  • 対策
    専門家の助言を仰ぎ、段階的に導入する計画を立てることで、システムの互換性を確保し、運用の複雑さを最小限に抑えることができます。

課題2 従業員の理解と協力

従業員が新しいセキュリティポリシーや手順に適応するのが難しい場合があります。

  • 対策
    定期的なトレーニングや教育プログラムを実施し、従業員が新しいセキュリティモデルの重要性を理解し、協力するよう促します。

課題3 コストとリソース

ゼロトラストモデルの導入には、初期費用や運用コストがかかります。

  • 対策
    予算計画を立て、段階的に実施することでコストを管理します。
    また、クラウドサービスを利用することで、コストとリソースの効率化を図ることもできます。

ゼロトラストの成功事例

ゼロトラストモデルの導入に成功した企業の事例をいくつか紹介します。

事例1 GoogleのBeyondCorp

Googleは、自社のネットワークセキュリティを強化するために「BeyondCorp」というゼロトラストモデルを導入しました。このモデルでは、従来のVPNを廃止し、すべてのアクセスを厳密に検証することで、セキュリティの強化を実現しています。

事例2 Microsoftのゼロトラスト導入

Microsoftもゼロトラストモデルを採用し、クラウドベースのセキュリティソリューションを提供しています。Microsoft Azureでは、顧客がゼロトラストモデルを容易に導入できるようにするためのツールやガイドラインを提供しています。

まとめ

ゼロトラストセキュリティモデルは、現代のサイバーセキュリティの課題に対応するための強力なアプローチです。従来の境界防御に頼らず、すべてのアクセスを厳格に検証し、最小権限の原則を適用することで、内部からの脅威や外部からの攻撃に対して強固な防御を構築します。

ゼロトラストモデルの導入には、ネットワークの可視化、アクセス管理の強化、ポリシーベースのアクセス制御、継続的な監視と対応、データ保護と暗号化など、いくつかのステップが必要です。これらを実践することで、企業はより安全な環境を提供し、サイバー攻撃のリスクを大幅に低減できます。

ゼロトラストの導入は一朝一夕にはいかないかもしれませんが、その効果は絶大です。ぜひ、ゼロトラストモデルを取り入れて、セキュリティの強化を図りましょう。